Super KD

航空業界内でグランドスタッフは、国内線に勤務するスタッフを「KD」、国際線に勤務するスタッフを「KI」と呼んでいます。

そんな中で、私が働いていた空港に、「スーパーKD」と言われるすごい先輩がいました。
今回は、先輩がスーパーKDと言われた理由となる仕事ぶりについてご紹介します。

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グランドスタッフを極めた完璧な先輩

私が勤務していた羽田空港時代には、優秀なグランドスタッフが揃っており、英語はネイティブ、コミュニケーションも上手い、当然頭の回転も速い、そんな先輩方が勤務している中でもひと際憧れの的となっていたスーパーKDと呼ばれる方がいました。

そんな先輩を一言でいうと「隙がない」、この言葉がぴったり当てはまるほど何をやっても完璧なのです。人間的にも魅力があるというより、人徳という言葉が適当でしょう。
当時はうらやましい限りでした。

そんな先輩に憧れるのは当然のこと、私もグランドスタッフを極めたいと志した一人であり、先輩の真似をしたいと常日頃から思っていました。

先輩の仕事ぶりに驚き!

そんなある日、スーパーKDと言われる先輩がどうしてそのようになれるのか、先輩の背中を追ってみることにしました。

まず先輩は、出勤後、掲示している業務連絡(以降「業連」)に目を通して業連1枚1枚をコピーします。ここまではKDであれば多くの職員がおこなう行為で、何ら珍しくはありませんが、先輩はここから先が凄いのです。

業連をコピーした先輩はその後、朝礼までの間に業連の趣旨を発行元に確認しているのです。業連に趣旨や目的が冒頭に記載されているのですが、それでも確認しているので、最初は何をしているのか理解できませんでした。

この確認行為は後に判明します。
その後、業連の内容に目を通して、記載されている根拠を規定などで調べていきます。

ちなみに朝礼までの間は時間にして30分程度です。
僅か30分の間に調べて内容を理解してしまうのです。

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流石にここまでは私は当然できなかったですし、今後もできる自信はありませんでした。先輩はこの僅か30分の間に何故内容を理解しているのかというと、グランドスタッフ業務は、毎日のように業連が発行され、常に手順や規定の内容が変更あるいは追加となります。

その中にはトライアル期間を設けず、即日の対応が求められる業連が発行されることがあるため、先輩は必ず内容を理解してから業務に従事しているのです。

でもそこまでに至るためには並みならぬ努力があります。
一般のKDの場合、30分で内容を理解することは到底無理です。
せいぜい概要の把握程度が精一杯でしょう。

先輩は常日頃より時間があれば規定類を隅から隅まで何度も読み返して理解を深めているため、どこに何が書かれているのかある程度把握、いや、正確に書かれている場所を把握しているのです。

その努力があってこそ短時間での理解が可能となることに私は気がつきました。

先輩が努力をする理由とは?

スーパーKDへの道はほど遠く、でも自分もグランドスタッフを極めたいと思った一人。
気合を入れなおして真似してみることにしました。

結果、1週間で心が折れてしまったので、先輩にどのようにしてそこまで努力できるようになったのか恥ずかしながらお聞きしたところ、「この仕事が誰よりも好きで、天職だと思っているから」と。

その言葉を聞いたときに、揺るぎない心の芯のようなものを感じ取ることができました。
それからは、志から違っていたことに初心を思い返しました。

また、業連の趣旨を業務前に確認している理由は、業界の変化や業界の向かう先が趣旨で感じ取ることができ、激動する変化に対応していくために確認しているのでした。一言でいうと「あっぱれ」です。

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