国内の外資系エアラインGSとして働いていたときのことです。
GSといえば、体力と時間に追われながらのかなりしんどい仕事でしたが一方で、嬉しい特典もありました。それは勤務しているエアライン系列の航空機に信じられないくらいお得な価格で乗ることができたことです。
そんなこともあって、元々海外旅行が好きで語学力を活かしたことがやりたかった私には天職でした。
同じ外資系でも日本国内とはまったく違ったGS
その社内制度を利用して、休暇にヨーロッパのとある国に旅行に出かけたときのことです。
日本国内の空港では、日系のエアラインも外資のエアラインもGSの業務はほとんど同じ。
航空機のタイムスケジュールにあわせて出勤し、簡単な事務作業や当日の航空機の運航状況などを確認したら、その日タイムテーブルに書かれた配置に沿って、早めに準備に取り掛かり、搭乗開始時刻の少なくとも30分前には、持ち場で待機していることがほとんどでした。
海外のGSに驚いたのは、帰国便でのことでした。
その日乗る予定だった飛行機の搭乗開始時刻はおよそ出発の2時間半前。事前に定刻運航かどうかも確認した上で、搭乗カウンターについては、ぴったり2時間半前。
すでに列ができはじめていたので、「早めに来てよかった」と思っていたのもつかの間。10分経っても20分経っても一向に列は動きません。
通常GSがいるカウンターにもスタッフがまばらにいるだけで、何のアナウンスもありません。
時間が経過しているのには働かない!?
「この空港だけ、搭乗開始時刻が違うのかしら?」と心配になりながら、前に並んでいた欧米系のカップルに聞いてみたところ、「2時間半前で間違いないよ」とのこと。
すでに時間は経過しているのに、カウンターのスタッフは、焦るどころか職員同士で話に花を咲かせたり、携帯電話でSNSをチェックしてみたり・・・
普段私たちの業務では絶対にありえないような光景が広がっていて、とても驚きました。
いよいよ列に並んでいる人たちも文句を言いだしました。
「何やってるんだ」
「もう時間を過ぎているのに、早くしろ」
そりゃそうだよなと思いながら見ていたら、なんと先ほど携帯電話で遊んでいたGSのスタッフが「まだ全員集まってないからちょっと待ってて」と。
全員とは、おそらくその日の対応スタッフのことのようでした。
乗客を待たせても文句を言われても動じない海外GS
しかしながら、通常であればファーストクラス以上の乗客を待たせるというのはほとんどあり得ないこと。
そのあとも「ブリーフィング中だから」とありえない嘘を連発し、しまいには「わたしのせいじゃないし、わたしの仕事ではないからわからないわ」と言いだす始末。
怒りを通り越して呆れるといったのはこういったことなんだなと、思いました。
それにしても、時間に追われる業務なのに、なぜこうにもこの人たちはこんなにゆとりがあるのだろうか。いや、日本で勤務する私たちがあまりにもきっちりしすぎているの?と疑わざるを得ないような体験でした。
結局35分くらい遅れて、やっと搭乗開始となりましたが、まったく謝罪する気配などもなく業務もゆったりと行なっているのを見て、乗客の気持ちになってほしいなと痛感した体験でした。