数十年ぶりに九州に雪雲が入り込み、大雪になったときのGS(グランドスタッフ)体験談です。
その日は、日中から曇りで、夜から雪の予報でした。
九州という土地柄、いつもなら雪が降っても大したことはありません。そんな安易な考えから、当然自家用車のタイヤは夏タイヤのまま出勤しました。
大雪にびっくり!白銀の世界になっていた
その日は遅番で、仕事終わりは22時でした。
仕事が終わってGS(グランドスタッフ)の締め業務をおこない滑走路を見渡してみると、何と北海道で見る白銀の世界となっているではありませんか。
これは帰れるのか?
車を運転してもスリップして事故を起こすかもしれない…そんな不安が頭をよぎりました。
次の日も仕事で、ここで無事に帰れたとしても、出勤できるのか?そんな重なる不安があり、空港周辺は長い坂道があることからもその日は帰宅することを断念し、空港事務所内で過ごすことにしました。
私だけではなく、別の職員も事務所で過ごすことに。
とりあえず食料の調達のために、往復1時間かけて徒歩で30分ほど歩いたところのコンビニで買いこみ。この段階で疲労が溜まりにたまって、お風呂に入りたい気分でしたが、残念ながら事務所にお風呂はありません。
取り敢えずソファーの上に横になって休むことに。
布団がないので、制服のジャケットを数枚重ねていつの間にか寝てしまい気がつけば、朝の4時。
帰るに帰れず雪かき部隊に!
駐機場に駐機している飛行機は真っ白。
当然飛行機の周辺も白銀の世界が広がっています。
これは朝から欠航かな?と思いながら寝ぼけてウトウトしていると5時頃に早番の職員が出勤してきました。出勤できるなら帰れるかもと思い、帰り支度を始めたその矢先でした。
早番の職員が「雪かきしないと初便から厳しいな、人員を早く揃えないといけない」と言い始め、帰るに帰れない雰囲気に。
ここで帰るわけにはいかないため、雪かき部隊として先陣切ってスコップを用意し、朝の5時過ぎから駐機している飛行機周辺の雪かきを開始しました。
一夜にして積雪は想像以上に。子供の気持ちが芽生え、雪合戦でもしたい衝動にかられましたが、そこは抑えて、せっせと雪かきを続けました。
雪かきはやってもやってもそこから雪が積もり、きりがない状態になりました。
でもこの雪を何とかしなければ飛行機は飛ばないので、職員皆で必死に雪かきをおこない、その甲斐あって、初便は定刻に出発することができました。
ホッと一安心。
そしてようやく帰宅できると思い、着替えて急いで車に向かって見えたその光景…
さらに愛車まで真っ白で…
何と雪に埋もれた真っ白な愛車!?
疲労困憊の体に鞭打ってこの雪を下さなければならないことに、頭も真っ白でした。
とにかく、そんなこと言ってられないので、雪下ろしと雪かきをおこない、凍りついたガラスを溶かすためにエンジンをかけてようやく発進できたのは雪かき開始から2時間後のことでした。
すっかり夏タイヤのことは忘れており、とにかく午後は出勤しなければならないので、必死に帰りました。
手足がしもやけで、真っ赤な状態で出勤し、昨晩はやっぱり帰っていればよかったなと思いました。
同僚からは早く帰ればよかったのにと言われ、事務所に寝泊まりしたことに周囲の職員からは、仕事が大好きなんですねと言われる始末。
何だか報われない自分が寂しい思いでいっぱいでした。