毎年多くの地上職で採用された新入社員が入社してきます。
ある年に入社してきた新入社員の訓練がやりづらく、訓練中、毎日のように疲れた時の話です。
やる気に満ち溢れた後輩?
新入社員が入社して、3日程、全体でのオリエンテーションを行います。
その後、各配属部署にて訓練が開始されますが、訓練の初日からやりづらい後輩が私の目の前に現れてしまいました。
それはグランドスタッフの訓練で、最初は航空業界の基礎や使用する言葉から教えていきますが、業界で使用する略語の授業中に、やりづらい後輩の一人が突然手を挙げ「海外の空港の略語の授業もやるのですか?」と質問してきました。
その時は、私が教えてきた授業の中で近年では珍しい、最初から何でも吸収したくてやる気に満ち溢れた後輩だなと思いました。
久々に手応えのある後輩に私もいつも以上にやる気になり、海外の空港の略語も教える事を伝えました。
自慢?アピール?他の後輩とちょっと違って…
国内の空港の略語が終了し、休憩を挟んで海外の空港の略語の授業を開始しました。因みに空港の略語は教えるというよりも覚えるしかない為、覚え方やこれだけは知っておくべき空港の略語を教えていました。
海外の空港を教えている中で、楽しく授業を進める為に、自分が旅行で行ったことのある空港の略語をまず覚えてもらい、1分後に、自分が指名した後輩数名に前方の黒板に略語を書いてもらいました。
当然、私の中で、質問してきたやりづらい後輩は最後に指名しようと決めていました。そして最後に指名し、その後輩が書き始めると何と、1つの空港ではなく、複数の海外の空港の略語を書き始めたのです。他に指名した後輩は1つしか書かないのに…
そんなに行ったことのある海外をアピールしたいのかと思いました。でも1分でよく複数が覚えられるなと感心もしました。あの時書いた空港は10以上であった事を記憶しています。
面倒くさい後輩は可愛げがなかった
それから印象はより変わっていきました。
書き終えると、「先生、採点して下さい」と言うのです。正直、面倒くさい後輩なのではと、その時思いました。私自ら指名した事を後悔しながらも、採点し間違っている略語はありませんでした。
また、自慢げに「他の空港も書けます」と言ってきましたが、時間が限られているので今日はここまでと告げ、明日全員テストを実施する事を伝えると、大人しく席に戻り、途端に「どこが出ますか?」と質問してきました。私が「全部」と言うと、「どこからどこまでの全部ですか」と更に質問。
私の言葉が足りなかったのですが、それにしても可愛げない後輩にやりづらさを感じつつも、翌日のテストは、一人だけ満点のやりづらい後輩に、更に可愛げないと思うのでした。
もしも態度が違ったら、同じ結果だとしても面倒くさいとか可愛げがないとは思わなかったはずです。やる気があるのは良いことですが、相手がやりづらいと思ってしまうような行動は避けるべきですね。