グランドスタッフとして働いていると、色々なお客様と出会うので困ることもある反面、感動して泣きそうになってしまうこともあります。そんな時は、こんなにやりがいのある仕事で働けて良かったと思うのです。
今回は、私がグランドスタッフとなって最も心に残った出来事についてご紹介します。
天候が悪く受験に間に合わない!?
それは天候の影響で便が遅延となった時の事です。
朝一でビジネスマンのお客様が多い上、出発間際に他社便の欠航が決まりカウンターには行列、そしてお客様からのお叱りも多く受けていました。
私が対応したお客様の中には、「今日、息子が大学受験で何とか乗せていただけませんか。今日本当に人生がかかっているんです。」と泣きながら言われる方もいました。
気持ちがわかるだけに、胸が締め付けられるほどです。
大学に限らず中学でも高校でも、受験となれば誰もが合格を目指してずっと勉強してきたはずですから、それが天候が原因で仕方ないとは言え、航空会社の都合であきらめなくてはならないというのは、あまりにもつらいことでしょう。ずっと応援してきた親御さんが泣きながら訴える気持ちもわかります。
しかし、あいにく既に満席であり地上交通をご案内するにも、天候が悪く時間と目的地を考えると難しい状況でした。
グランドスタッフの仕事は心苦しい状況であってもお断りをし、ベストを提案しなければならない事もあります。まさにその状況でした。
搭乗取り止めをして席をゆずってくれたお客様
その時、あるお客様がそのお客様の様子を見て、「私はいつでも行けるから今回の搭乗は結構です。受験生をさし置いてまで乗る理由はないからね。私の席を使って下さい。」と言われ搭乗取り止めをされました。
当社が大変なご迷惑を掛けているにも関わらず、他のお客様の事まで考えて行動される素晴らしいお客様に出会えました。
この瞬間、私は接客業ではあるまじき行動ですが涙が溢れました。
飛行機に乗る目的は様々だからこそ…
普段飛行機に乗る事がない方は、空港といえば旅行等、楽しい気分を想像する事が多いと思います。
ですが、お客様1人1人にどのような目的があるか、どのような気持ちで搭乗されるかは全く異なります。受験や今後に影響のある重要な仕事など、まさに今日じゃないとダメという方も多くいるのです。結婚式などもそうですね。
無事に飛行機に乗れた時と乗れなかった時で、人生が変わると言ってもいけないような場合もあるため、グランドスタッフは時にはお客様につらい決断をお伝えしなければならないこともあります。
今回のこの出来事は、お客様の行動に感動するだけではなく、心で対応する事が大切だと実感して本当のやり甲斐を感じました。