私は大学卒業後、夢だった大手国内CAとして就職することが決まり、あのキラキラした世界へと羽ばたける!と希望に満ちていました。
CAとは私の中で小さな頃から憧れの存在であり、あんな接客をお客様に提供するのが心から楽しみで仕方ありませんでした。
保安要員としての業務は重要だとわかった訓練
しかし実際に訓練を受けて自分が感じたのは接客よりもなによりもお客様の安全を確保する保安要員としての業務の大切さを学びました。
正直CPRの勉強やテロへの勉強。
機内でお客様が体調をこわした際の訓練、脱出技術。
私が思っていたキラキラしたものとはかけ離れた厳しいものでした。
毎日起きてがむしゃらで勉強しテストを受ける日々。
受かったから良し…ではなく、それからがスタートラインだったのです。
訓練中に怒られすぎて泣いたこともありました。
しかしその厳しい訓練があってこその現場だと強く感じる出来事が実際にフライトを開始してから沢山起こりました。
印象に残っている体験/お客様が意識をなくした!
中でも私の中で印象に残っている体験があります。
私が実際にフライトを開始してからまだ3ヶ月ほどのひよこだった時のことです。
フランスから羽田、羽田から北海道への乗り継ぎのお客様を乗せて千歳空港へ飛び立ちました。
離陸してからベルトサインが消えてドリンクを提供し回収の段階へ差し掛かった頃、その日は乱気流の影響でベルトサインを早く点灯する予定にしてました。
お客様にそのことを伝えるとトイレに立ったそのフランスからのお客様が突然意識をなくされ、コックピットドアに頭をぶつけて倒れました。
私は後ろの客席を担当していたのですが、娘さんが”お父さん”と泣き叫ぶ声で気づき、前方のCAから何があったか説明されました。
訓練の成果!?冷静になって対応できた
すぐに酸素とドクターを呼ぶコールをしてくれ!と言われ、実際に現場でそのようなことが起きたのは初めてだった私は半ばパニックになりました。しかし訓練の甲斐があったのか冷静を保ち酸素を前に運んだ後ただちにお医者様を呼ぶことも出来ました。
幸いお医者様が機内にいらっしゃり、お客様も長時間のフライトとお酒を沢山飲まれたことによりいきなり立ち上がった為、脳貧血を起こしただけとのことですぐに意識も回復し大事には至りませんでした。
しかしそこは空の上。何があっても私たちがお客様を守らないといけないんだと強く改めて感じた出来事でした。
その経験がその後のわたしを強くし、客室乗務員としても人としても強くなれました。
今でもCAとして働けた経験は私の人生の宝物です。