ノート

新規に空港が開港する場合、航空会社として何を準備するのか想像できますでしょうか?

簡単に申し上げると、空港という建物だけがあり、文具やマニュアル類など業務に必要なものを準備していきますが、本当に何もないところからのスタートなので、経験がないとそこは何をしていいものやら全く想像のつかない世界なのです。

ここではS空港開港に伴う、グランドスタッフとしての開設準備をお伝えしていきたいと思います。

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※Reisaスタッフより
体験談の投稿には空港名の記載もありましたが、ご本人様のご都合も考えてイニシャルでご紹介させていただきます。

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未経験者の割合が約7割でのスタート

まず、グランドスタッフとして採用された人材は、ベテラン経験者から未経験者まで幅広く、その中で未経験者の割合が約7割といった具合でした。

近隣には規模の大きい空港が構えており、規模の小さいS空港が開港するメリットが見えず、開港が本当に成功するかどうかも不透明でした。

そのような背景を踏まえて、航空業界経験者が規模の小さいS空港へ転職するとは考えにくく、私は経験者の少なさは予め想定していましたが、それ以上に少ない経験者数に不安を感じていました。

さらに経験者と言っても、現場でのグランドスタッフのハンドリング経験者だけであり、空港の立ち上げの経験者は何と私だけで、立ち上げの経験者がいないことが最大の不安要素でした。

スケジュール調整が難しかった

開港前のS空港には、チェックイン端末や帳票類など必要なものは開港直前まで整っていませんでした。

そのため、未経験者に対する教育は当然できないことから、羽田空港や他の地方空港での訓練を行わないといけませんが、訓練をおこなうためには、訓練の受け入れ先への打診やスケジュール調整を行わなければなりません。

調整からのスタートで、物事を一つ一つ順序立てて進めていかないと、思わぬ抜けが生じてしまうのです。抜けが生じた場合にどんなことが起きるのかについては、のちにご紹介します。

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ちなみに開港に向けてグランドスタッフ業務の立ち上げに必要なこととは主に、グランドスタッフ業務の1日のアサイン(割り当て)作成、シフト作成、規定類の作成、帳票類の作成、訓練計画立案と実施報告書作成、国土交通省航空局安全監査資料作成です。

ここに挙げたものだけでも現場経験だけでは対応は非常に難しく、私一人で対応するには膨大な時間と労力が必要となり、どのように対応し、進めていくのか毎日のように悩んでいました。

最大の山場は航空局の安全監査

最大の山場が航空局の安全監査であることはこれまでの経験で認識していましたが…

その山場を迎えるにあたり、グランドスタッフの業務を開始するために必要なものがほぼ揃っていなければ監査を乗り切ることができないため、自分も訓練を受けながら、事務的な業務も並行しなければ監査には間に合わないため、自分自身のスケジュール管理がとても大変でした。

時には、睡眠時間が1週間で平均2時間なんてこともありましたね。

投げ出したいとは思いませんでしたが、心が折れそうになることはしばしばあり、業務に追われすぎて本当に投げ出す瀬戸際まで追い込まれたことを今でも覚えています。

しかし、監査を乗り切らないことには、開港を迎えることはできません。

仮にそのようになった場合、想像を絶する会社の損失や社会に多大なる影響を与えることは間違いありませんでしたので、準備の抜けは許されず、心が折れている場合でもないのです。

何が何でもやりきる精神だけで、毎日を過ごしていました。

やっとの思いでグランドスタッフに採用され、カウンターに立てるその日まで毎日訓練に励んでいる仲間のためにも、私はプレッシャーの中、毎日開港までの間、業務との戦いでした。

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