私はある国際空港の旅行会社カウンタースタッフでした。
海外旅行というとパスポートは必須ですから、仕事でもまず見せていただきます。
せっかくの旅行なのに忘れたら大変!しかし、実はパスポート忘れのトラブルは非常に多いのです。
今回は、パスポートを忘れたことによる悲しい結末についてご紹介します。
カウンタースタッフの仕事
仕事の内容としては、その旅行会社でチケットやツアーを購入したお客様をカウンターにてまずお迎えします。
そして、E-チケット(電子チケット)や搭乗券のお渡しをし、その空港内での手続きの流れ・乗り継ぎ空港での乗り継ぎ方法・現地スタッフに合流するまでの流れを資料や冊子などでご案内して送り出します。
朝が大変早く朝の6時からお出迎えをし、飛行機の発着がもっとも多い時間帯にはカウンターには長蛇の列ができ、その中でも航空会社からの連絡網が回ってきたり、お客様の空港到着が遅れるという連絡を受け取ったり、と大変忙しい日々でした。
しかし、ほとんどのお客様が楽しみにしていた旅行の初日です。
思い出作りの手助けができるという仕事は大変嬉しく、やりがいのあることでした。
しかし、色々な、ありえないトラブルに合うこともよくありました。
パスポートを忘れる方は非常に多い
皆さんは海外旅行に行かれるというと、必ずお持ちになるものはなんだと思われますか?パスポート、ですよね?
実はこのパスポート、忘れる方、非常に多いのです!
驚かれることだと思います。実は4日に1人はいらっしゃいます。
なので、カウンターに来られたお客様にはまずパスポートを見させていただきます。
ここで、忘れに気づかれる方で自宅が空港から1時間ほどであれば、自宅から誰かにパスポートを届けてもらい、航空会社の手続き締め切り時間ぎりぎりに間に合われた方は飛行機に乗ることができます。
しかし、それに間に合わないと、行きの飛行機に乗れません。
ここでよくあるご質問が「じゃあ、次の飛行機を予約してちょうだい。」ということですが…
実は旅行会社の場合、行きと帰りのチケットはセットになっており、行きの飛行機だけをキャンセルする、ということはほぼできません!
新幹線だったらできるのですが、飛行機はそうはできないのです。
満席で他の航空券を買うこともできない…
また不思議なことに飛行機のチケットをとる場合、往復のチケット代と片道のチケット代はほぼ同じなのです!
この事実をお伝えするとだいたいの方は、「じゃあ、今回はキャンセルして、次の機会に予約し直すわ・・」という方がいたり、お友達だけには出発してもらい、その方だけ自宅に帰られる、なんていう風景はなんども目にしてきました。
「待っていますね」と、そうお伝えするしかない私たちは、いつだって心が痛みます。
他にもあるパスポートあるある
ほかにも、パスポートは持ってきたけど、なんと、他の家族のパスポートと間違えた、失効切れの物を持ってきてしまった、ということも悲しいほどによく起こります。
航空会社のカウンターのスタッフの方からも「毎日のようにパスポートがらみの問題はありますよ」と聞かされます。
また、あるご夫婦の方のお話なのですが、パスポートも問題なく航空会社での手続きもおわり、出国審査もすぎ、いざ飛行機へ搭乗というところでパスポートが見つからない!
免税店やお手洗いも探しましたが見つからず、飛行機の搭乗も締め切られてしまい、私たちのカウンターへお戻りになられました。
そして、再度カバンを探したところ、なんとカバンの内ポケットにしっかりと収まっていたのです。
正直今でも全く笑えるお話ではなく、心痛むお話です。
また聞いたお話ですが、1週間に1回は出国後のお手洗いにパスポートを忘れられる方がいるとのことです。
ほとんどの方は見つけた方がスタッフに届けてくださり、館内アナウンスなどで無事本人に届けられるそうですが、日本人の親切な心があってのことでしょう。
海外でしたら、そのままどうなってしまうのでしょう…と考えたくもありませんね。
誰でも簡単に海外旅行ができる今の時代です。
パスポート、パスポートだけは大切に大切に扱ってくださるようにお願いいたします。
そして利用者の皆様が楽しいご旅行ができるように祈っているのは空港で働くスタッフ全員の思いだと思います。