GS体験談!小さな体に秘めた思いに感動!お子様だけの飛行機旅行

空港には毎日、たくさんのお客様が行き来しています。
夏休みになると、旅行や観光、帰省客が増えて空港は大混雑です。

家族連れや友人達と空港に訪れるお客様の姿も多くみられます。
時には、遠く離れた祖父母を訪ねるためなどで、お子様だけで飛行機を利用される方もいます。

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小学生の兄と幼稚園児の妹ふたりでの飛行機利用

ある年の夏休み。私にはとても印象に残る出来事がありました。
小学生の男の子と幼稚園児くらいの女の子の兄妹だけで飛行機を利用したお客様が到着したのです

全ての搭乗客が降機し、一番最後にその兄弟が姿を見せました。
まだ幼さの残るお兄ちゃんでしたが、シャンと背筋を伸ばし、小さな妹の手を引きながら歩いてきました。

「ありがとうございました!」
CAさんに頭を下げながらお礼を言うと、妹の歩幅に気を配りながらゆっくりと飛行機から降りてきました。

「こんにちは。これから荷物を取って、お迎えの人のところまで一緒に行こうね」と私が言うと、お兄ちゃんは無言でうなずきながら、口元を緩めることなく私の顔を見つめました。

飛行機の中でも緊張しっぱなしだったであろうその表情からは、しっかりしなければという強い責任感が伝わってきました。
(小さいのにしっかりしているなぁ…)

緊張から解放されて子供らしい様子が・・・

心の中でそう思いながら歩き出し、ボーディングブリッジから搭乗口に差し掛かった時です。

急にお兄ちゃんが床に両手をつき、顔を真っ赤にして激しく嘔吐し始めました。
背中さすりながら「大丈夫?気持ち悪かったんだね」と声をかける私に、何度も謝るお兄ちゃん。
その姿を見て、泣きだす妹。
(こんな小さな体で、飛行機に乗っている間中、不安や緊張とずっと戦っていたんだろうな。)

私は妹の体を抱きよせ、お兄ちゃんの背中をさすりながら「もうすぐお迎えの人に会えるからね、長い時間よく頑張ったね」と声をかけました。お兄ちゃんはうなずきながら、大声で泣いていました。

私はやっと、本来の子どもらしさを見ることができて安心しました。

お兄ちゃんが落ち着いたのを見計らって背中に乗せ、小さな妹の手を引いて歩き出しました。
荷物の受取所に着くまでの間、一緒に歌ったり、話をしたり、出発前の飛行機に手を振ったり…。

いつの間にかお兄ちゃんも元気を取り戻し、冗談を言って笑わせてくれるまでになりました。
ほんの数十分ほどの時間しか経っていませんが、最初の印象とはずいぶん違い、わんぱくでお茶目な小学生の姿がそこにありました。

泣きながらお出迎えに来たお母様

お迎えの方が背負われているお兄ちゃんの姿に驚きましたが、お兄ちゃんは背中の上で笑いながら大きく手を振っていました。

荷物をピックアップしてお迎えの方のところに行くと、お母さんらしき方が泣きながら出迎えてくれました。

「人見知りで緊張しいのお兄ちゃんが、初対面の人になついている姿を初めてみた」
「初めて子どもだけで飛行機を利用したので心配していた。泣きながらくるかと思ったら、笑顔でおぶられているからビックリした」
と、泣き笑い顔で何度もお礼を言って下さいました。

私も涙目になりながらこれまでの経緯を話しました。
「二人とも、とてもおりこうさんで頑張って下さいましたよ。たくさん褒めてあげていただけると嬉しいです。」
最後に別れる時には、家族に会えて安心した兄妹の子どもらしい姿を見ることができました。

この出来事があってから、子ども達を見る目が変わりました。

小さな体に秘めた勇気や責任感、不安や葛藤。
飛行機はそんな思いまで乗せて日々、運航しているということ。

空港には毎日、たくさんのお客様が行き来しています。
「それぞれの目的、それぞれの思いに寄り添ったサービスを提供していきたい」と強く心に思った出来事でした。

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