JCABライセンス切り替え

海外でパイロットの資格を取って日本で働きたい方、もしくは外国人パイロット(外国免許保持)が日本で働く為にはどうしたら良いのか。

外国人の夫・パイロットと結婚した私(元CA)が、夫の免許切り替えの為に国土交通省やフライトスクールに聞いた情報を元にまとめました。

パイロットのライセンスには、定期運送用操縦士・准定期運送用操縦士・事業用操縦士・自家用操縦士とありますが、今回は定期運送用操縦士(ATPL)の切り替えについてです。

結論として、外国免許ATPLを個人でJCABライセンスに切り替えることは現状かなりハードルが高いです。(出来ないことはありませんが…)

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航空法規・学科試験について

海外のATPLライセンス保持者はまず学科試験を受験しなければなりません。
学科試験に関しては航空法規のみ受験となります。

学科試験は、原則として年6回、土曜日若しくは日曜日に実施しされます。
因みに令和3年(2021年)については、5月・7月・9月・11月・1月・3月でした。

申請については、必要なものは下記になります。

  1. 申請書(19号様式)
  2. 納付書(手数料 5,600円の収入印紙貼付)
  3. 航空局指定返信用窓付封筒 × 2(通常郵便の切手を添付(受験票用及び結果通知書用))
  4. 学科試験の科目合格により、科目の免除をする場合は学科試験結果通知書
  5. 他のライセンスを所有していることにより、科目の免除をする場合はライセンスのコピー
  6. 国外のライセンスを所有していることにより、科目の免除をする場合はライセンスの現物
  7. 6.のコピー
  8. 6.の手続きを郵送で行う場合は、ライセンス返送用の封筒(封筒の型式は問いません。書留郵便の切手を添付)申請を航空局の窓口で直接行う場合は不要
  9. 運航管理者の試験を受ける場合は航空経歴書

提出先は希望する受験地を管轄する地方航空局です。

千歳・岩沼・東京→東京航空局
名古屋・大阪・福岡・宮崎・那覇→大阪航空局

詳しくはこちらのHPに記載されています。
鳳文書林出版販売(株)
http://www.hobun.co.jp/ginou/

航空法規・英語の試験について

また、試験については日本語と英語のどちらかを選択することが可能でしたので、夫(外国人)は英語で試験を受けることになります。

ここで注意しなければならないことが、試験日は年に6回ありますが、英語で実施の試験は毎回ある訳ではないので受験する年度の何月に英語試験があるのかは問い合わせをする必要があります。

<問い合わせ先>
航空局安全部運航安全課技能審査係 TEL(代表):03-5253-8111(内線50136)

また、英語で受験したい場合は、東京航空局(九段)への学科試験申請とは別に、「英語による学科 試験実施依頼書」を航空局(霞ヶ関)へ提出しなければなりません。(英語試験の準備をする為、国土交通省の航空局にも事前に知らせる意味だそうです)

英文試験を申し込むには、学科試験申請書と英文受験依頼書を提出します。

○学科試験申請書
※郵送、持参(書店(オンライン)で入手可能です。
http://www.hobun.co.jp/

申請先は、東京航空局保安部運用課検査乗員係へ申請します。申請期間が1週間とタイトスケジュールなので、時間に余裕を持って出されると良いでしょう。

○英文申請書
※※郵送、持参又はメールでも可

英文受験依頼書は、国土交通省の担当部署に問い合わせした際にメールで送っていただきました。
申請は、国土交通省航空局運航安全課技能審査係へ申請してください。
※既得資格証明書のコピー・航空経歴書(学科申請では会社等の署名は不要)も添付してください。

頂いたメールへの返信でメール添付可とのことだったのでそのまま申請をしました。
その際に、既得資格証明書のコピーに日本語和訳も念の為添付しました。

学科試験対策について

いきなり航空法規!どうやって勉強しようと思っていらっしゃる方も安心して下さい。
国土交通省のHP内に過去問が掲載されています。

もちろん英文試験バージョンもあるので、こちらから過去問を見て勉強することができます。
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000025.html

夫曰く、問題を見ただけで特段難しいかは問題なく、今まで勉強した知識や経験で十分対応できる範囲とのこと。(因みに飛行歴は13年、機長経験あり)

実地試験について

航空法規の学科試験に合格すると、次は実地試験を受けなくてはいけません。

実地試験の内容

実地試験に関してですが、JCABの定期運送用操縦士(ATPL)に切り替えるには実機テストが必要になってきます。

ここで、夫は諦めざる終えない状況になりました。
というのも、実機を自身で用意しなければならないというのです!

ボーイングやエアバスなどの実機を個人レベルで借りてきて、教官を手配しなければなりません。
正直、はっきり言って不可能に近いです。

国土交通省の教官の方にお電話で聞くと、過去に個人で用意された方もいましたが、それは例外中の例外で、一般人ではなく何千万を自腹で支払えるVIPの方でした…とのことです。

そうすると、一般人がJCABライセンスに切り替える現実的な方法としては一つしかないとのことです!
それは、日本の航空会社に就職すること!だそうです。

外国免許でも採用を実施している航空会社に先に入社を決めて、入社が決まったパイロット達に会社が訓練費用を支払って上記手配をしてくれるとのことでした。

例えば、エアージャパンとかが、ピーチエアラインなど外国人パイロット達が在籍している航空会社がまさにそうでしょう!

また、日本の航空会社に入社した場合は、実機試験ではなくシュミレーターを実施試験の代わりとする場合もあるとのことです。
会社の訓練時間や規則によって異なる?というニュアンスのお話でした。

因みに、もし、試験を受ける場合には、67,400円の試験料(収入印紙)がかかるそうです!

実地試験今後の見通し(法改正)

ここまで聞いてJCABライセンスを諦めた夫と私は、ダメもとで民間のフライングスクールを片っぱしから電話をかけました。

あわよくば、実機試験で使う飛行機の手配が可能か?もしくはそういった単発コースが無いのかという淡い期待を込めて…

結論として、定期運送用操縦士用の実機を貸してくれる民間のスクールはどこもなかったのですが、あるスクールの教官と話をする中で耳寄りな情報をいただきました。

2021年の春ごろに国道交通省から正式なアナウンスとして、今後は実機訓練の際に事業用の実機でも対応可能?門戸を広げるという通達が出たとのこと。

具体的にどの機種が使用可能かとかはまだ詳細には出ていないそうですが。。。

やはり、その教官の方曰く、我々のように外国のATPLからJCABライセンスへの切り替えを希望される方がものすごく多くなっているらしく、民間のフライトスクールも国に要請し、事業用ジェットでも取得できる方向に働きかけている最中とのことでした。

実地試験合格後の申請について

仮に、実機試験も受け無事に合格した場合の手続きも念の為聞いておきました。

学科と実施試験合格をし、改めて必要書類を揃えて国土交通省に申請をするそうです。
そして、海外で取得したライセンスをその国の航空局に照会をかけるそうです。(本当に資格持ってるの?笑 ってことでしょうね。)

メールで問い合わせした後にそのメールの返信があり次第2週間から3週間程度でJCABライセンスが発行されるとのことでした。

まとめ

現状、個人レベルで、外国免許(ATPL)からJCABライセンスへの切り替えはものすごくハードルが高いということが分かりました。
飛行機を個人で借りた場合には莫大な費用がかかる為、現実的にはどこかのエアラインに就職するしか方法がないということです。

ただ、国の法律も日々変わってきているので、今後は外国で取得した免許や外国人にも日本のJCABライセンス切り替えがスムーズにいく様な動きになって来そうですね。

余談ですが、国土交通省にお電話をかけた際に、担当が細かく分かれていますので、聞きたい内容をリストアップして効率よく聞いた方が良いですよ!

例えば、学科試験の内容についてはこの担当。学科試験の申請についてはこの担当。実地試験の内容についてはこの担当。実施試験の申請についてはこの担当。などなどなど・・・・・。

何人の方とお話ししたのでしょうか(笑)
国土交通省の方、お忙しい中ご丁寧に対応してくださったので感謝感謝です!

また、最終的に私が聞きたかった実施試験の内容については、実施試験の教官の方々しか分からず、常にフライトや出張に行かれている教官の方々とお話しするまでに数日の時間がかかりました。(特に今はコロナ禍でテレワーク中だったこともあり)

現在、日本の航空会社ではJCABライセンスが募集要項に必須に記載されていることが多いのですが、たまにJCAB事業用ライセンスでも応募可能というところもあります。

事業用ライセンスに関しても実機の試験はマストのようですが、こちらに関しては民間のフライトスクールに入り直すことによって取得できる可能性もあるので、お問い合わせしてみることをお勧めします。

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